Molecular Shape, Catalytic Pockets and Three-dimensional Fields

立体記述子と三次元場

分子の大きさを一つの値に潰さず、軸方向の幅、反応中心周囲の占有体積、空間分布として定量化し、反応選択性との関係を解析します。

局所軸記述子
Sterimol L、B1、B5
反応中心記述子
%Vbur、quadrant volume
空間表現
steric map、electron field、cube

1. 立体効果をどう数値化するか

立体効果は方向依存です。同じ体積でも、反応軸を塞ぐ置換基と横方向へ広がる置換基では反応への影響が異なります。そのため、基準軸に沿った局所寸法、反応中心周囲の占有率、空間分布を使い分けます。

表現保持する情報失う情報
Sterimol指定軸に沿う長さと最小・最大幅軸周りの詳細な方向分布
%Vbur指定球内を占める総体積率どの方向が混雑しているか
quadrant %Vbur四領域ごとの非対称性各領域内の細かな形状
steric map触媒pocketの空間分布単純な少数変数への圧縮
三次元場立体・電子情報のvoxel分布配向・grid依存で高次元

2. Sterimol: L、B1、B5

結合または置換基の取り付け方向をprimary axisとして定義し、van der Waals表面の寸法を測ります。

  • L: primary axis方向の長さ。
  • B1: primary axisに垂直な方向で最小の幅。
  • B5: primary axisに垂直な方向で最大の幅。

実装によってBmin/Bmax表記を使う場合があります。値は原子座標、基準原子の順序、van der Waals半径、hydrogenを含むかに依存します。

軸の定義がdescriptorの一部

同じ分子でもatom1 → atom2を変えるとL方向と測定対象が変わります。数値表には基準原子のchemical definitionを保存し、単なるatom indexだけに依存しないようにします。

3. 配座依存性とensemble

柔軟な置換基では、単一最低エネルギー配座のSterimolが反応条件下の代表値とは限りません。各配座iの自由energyからBoltzmann weightを計算し、分布または加重平均を扱います。

wi=exp[-ΔGi/(RT)]jNexp[-ΔGj/(RT)]
B=iNwiBi

平均だけでなくmin/max、標準偏差、percentileを保持すると、配座によるdescriptor uncertaintyをモデルへ反映できます。配座探索method、energy level、温度、溶媒を記録します。

4. Percent buried volume

%Vburは、指定中心の半径Rの球のうち、ligand等のvan der Waals volumeが占める割合です。

%Vbur=100×Voccupied4πR3/3

中心は金属や仮想反応中心、球半径は典型的には3.5 Åなど研究目的に応じて定義します。metal-ligand距離、座標原点、除外原子、H原子、vdW radii scale、grid spacingを揃えないと比較できません。

中心をずらした%Vbur

反応が起こる位置を表すため、金属中心から特定距離だけ軸方向へ移した点を球中心にすることがあります。距離をdescriptor名またはmetadataへ含めます。

5. Steric mapとquadrant解析

steric mapは、一定の座標系に配向した分子が触媒pocketの各位置をどれだけ塞ぐかを二次元地図として表します。四象限へ分割すると、全体%Vburでは消える非対称性をquadrantごとの値として保持できます。

  1. 中心を原点に置く。
  2. 配位軸・反応軸をz軸へ揃える。
  3. 第二の基準原子・基準面でx/y方向を固定する。
  4. 解析対象外のmetal・substrate等を除外する。
  5. 同一半径、mesh、vdW radii、color scaleでmapを生成する。
鏡映・回転の取り違え

座標系の定義が分子ごとに反転するとquadrant比較が無意味になります。自動配向後も基準原子が同じchemical roleを持つか、既知の非対称構造で向きを検証します。

6. DBSTEP・SambVca

DBSTEP

DBSTEPは三次元構造からSterimol、%Vbur、distance-resolvedなSterimol2Vec・Vol2Vecを計算できます。

Shell
# Sterimol along atom 2 -> atom 5
python -m dbstep conformer.xyz --sterimol --atom1 2 --atom2 5

# Percent buried volume around atom 2, sphere radius 3.5 Å
python -m dbstep conformer.xyz --volume --atom1 2 --radius 3.5

option名は導入versionで確認してください。原子indexは通常1始まりです。DBSTEPは座標に加え、Gaussian cubeのvolumetric densityを用いる計算にも対応しています。

SambVca 2.1

SambVcaは%Vburとtopographic steric mapをWeb interfaceから生成します。中心、配向軸、除外原子、sphere半径、mesh spacing、vdW radii scaleを入力として保存します。利用条件と推奨citationは公式ページを確認します。

7. 三次元電子場への拡張

Sterimolと%Vburは原子のvdW surfaceを主に扱いますが、反応選択性には静電相互作用、polarization、Pauli repulsion、軌道相互作用なども関与します。そこで、共通座標系に整列したcube上の物理量をvoxel featureとして扱います。

候補となる情報注意
電子密度分子境界、接触、密度変形gridとisovalue依存
静電ポテンシャル求電子・求核的な空間傾向評価面・単位を固定
軌道・フロンティア軌道場位相、局所振幅、反応軌道候補軌道対応・位相合わせ
NCI/IGMH/IRI弱い相互作用領域エネルギー分解解析ではない

gridの原点・軸・shapeを統一する方法はcube章、実空間関数はMultiwfn章を参照します。voxel数がsample数より圧倒的に多いため、領域積分、mask、PCA、正則化などで次元を制御します。

8. 反応選択性モデルへの接続

enantioselectivityをfree-energy差へ変換すると、物理化学的なenergy scaleでmodel化できます。

ΔΔG=-RTln1+ee1-ee

eeはfractionとして符号規約を統一し、major enantiomerの定義を固定します。温度が異なるdataを同じ変換で混ぜません。

  1. 反応中心に対応する共通座標系を定義する。
  2. 各基質・触媒の配座ensembleを作る。
  3. Sterimol、%Vbur、map・field特徴量を同じ規則で計算する。
  4. 特徴量のscale、相関、配座分散を調べる。
  5. Ridge・Elastic Net・PCAで少数標本・高次元性を制御する。
  6. group splitで別基質系列・触媒系列への外挿を評価する。
  7. 係数・loading・SHAPを電子状態計算や追加実験と照合する。
相関から機構へ進むとき

統計的に重要な領域は機構仮説の候補です。単一descriptorの係数だけで立体反発や特定相互作用を断定せず、遷移状態、エネルギー分解解析、置換実験など独立な証拠と組み合わせます。

9. 参考文献・ツール

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